偽史邪神殿

なんでも書きます

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

サーシャ・フィリペンコ『赤い十字』感想 / 赤黒いファミリーヒストリー

「もしこの惨状を全世界に知らせなかったら、半世紀後には自らの意思でシャベルからものを食べようとする人間が出てくる。 (…)その人たちが囚われているのはもはや収容所ではなく、その人自身なんだからね」(P175) 赤い十字 作者:サーシャ・フィリペンコ…

シルヴィア・モレノ=ガルシア『メキシカン・ゴシック』感想 / 混交するもの されるもの

メキシカン・ゴシック 作者:シルヴィア モレノ=ガルシア 早川書房 Amazon 1950年のメキシコを舞台にしたゴシック・ホラー。うら若き令嬢ノエミ・ダボアダは、田舎に嫁いだ従姉妹からの助けを求める手紙に応じ、彼女の住むドイル家の屋敷に向かう。しかしそこ…

エルヴェ・ル・テリエ『異常(アノマリー)』感想 / 死後評価されることについて

死後評価されたい。 オタクなら誰でも一度は夢見ること……つまり「死後評価されること」について考えてみたい。 不遇の天才だとか不世出の逸材とか、世に色々な「報われない才能」というのはあるけれど、中でも一番かっこいいのは「死後評価される」ことだ。…