偽史邪神殿

なんでも書きます

MULTITARN / 歌詞+曲紹介など

無色透明祭Ⅱに投稿された楽曲「MULTITARN」の歌詞と、かんたんな元ネタ説明+曲紹介です。わかりやすくまとめたページがなかったので叩き台として作りました。 無色透明祭というのはボカロ・UTAUなどの音声ソフトを用いた楽曲を、匿名かつMV・イラストなしで…

法学雑誌と昭和のミステリ作家たち

佐野洋、高木彬光、和久峻三、夏樹静子、連城三紀彦……昭和に活躍した偉大なミステリ作家たちの名前をご存知だろうか。そしてかれらが法学専門誌に寄稿していたことを。 『ジュリスト』『判例タイムズ』など、世間には法学の専門誌というのがいくつもあるが、…

『ルミナリーズ』登場人物リスト

エレノア・キャトン『ルミナリーズ』の登場人物リストです。 ルミナリーズ 作者:エレノア・キャトン 岩波書店 Amazon 書籍に掲載されている登場人物リストが分かりづらいので作りました。基本的には登場した順番に並べています。太字は十二宮(青)/天体(緑…

奇想の解体、虚飾の逃避『凌ぎの哲 雀荘争奪編』感想

ついに『凌ぎの哲 雀荘争奪編』がリイド社から発売された。連載終了から17年間にわたって単行本化されていなかったシリーズ最終章を、ようやく手に取ることができるようになった。自分も今回、初めてこの話を読むことができた。 『凌ぎの哲』はほんとうに面…

2017-2022 私的ボカロベストまとめ

2017年から年末にボカロベストを考えるようになって、今年で六年目になった。自分の中ではボカロと向き合ううえでのルールみたいなものがいくつかあって、それは昔からあまり変わっていないのだが、文章にしたことはなかったので書いてみる。 2017~2022年の…

カルロス・ルイス・サフォン作品 登場人物リスト②

今回は『天国の囚人』の登場人物リストです。 リスト①→風の影、天使のゲーム リスト③→精霊たちの迷宮(未定) 天国の囚人 (集英社文庫) 作者:カルロス・ルイス・サフォン 集英社 Amazon 『天国の囚人』登場人物 ダニエル・センペーレ 父 フェルミン・ロメロ…

カルロス・ルイス・サフォン作品 登場人物リスト①

カルロス・ルイス・サフォンは『風の影』に始まる失われた本の墓場シリーズの著者として知られている。そしてかれの作品は異常に登場人物が多い。さらに名前が憶えづらい。そのわりに集英社文庫の登場人物一覧はぜんぜん役に立たないし(せめてフルネームで…

ギャンブル漫画としての『根こそぎフランケン』の感想

『根こそぎフランケン』を、かなり面白く読んだ。 中心人物はふたり。図体がでかくて頭は悪いが、力でねじ伏せる麻雀を打つ天才・フランケンと、頭も良いし麻雀も上手いがとある挫折体験をして以来、本気で麻雀を打っていない中年男・竹井。そこにさらに何人…

(自分用)kindle unlimitedで読める本リスト

www.karzusp.net はい。そういうわけでやっていきます。 キンリミで何が読めるのか調べるの、難しすぎる。 別に読んでる本を紹介するわけとかではなく、なんとなく読みたいやつを挙げるだけです。 めんどうくさいので、小説本はシリーズとか作家でまとめて読…

サーシャ・フィリペンコ『赤い十字』感想 / 赤黒いファミリーヒストリー

「もしこの惨状を全世界に知らせなかったら、半世紀後には自らの意思でシャベルからものを食べようとする人間が出てくる。 (…)その人たちが囚われているのはもはや収容所ではなく、その人自身なんだからね」(P175) 赤い十字 作者:サーシャ・フィリペンコ…

シルヴィア・モレノ=ガルシア『メキシカン・ゴシック』感想 / 混交するもの されるもの

メキシカン・ゴシック 作者:シルヴィア モレノ=ガルシア 早川書房 Amazon 1950年のメキシコを舞台にしたゴシック・ホラー。うら若き令嬢ノエミ・ダボアダは、田舎に嫁いだ従姉妹からの助けを求める手紙に応じ、彼女の住むドイル家の屋敷に向かう。しかしそこ…

エルヴェ・ル・テリエ『異常(アノマリー)』感想 / 死後評価されることについて

死後評価されたい。 オタクなら誰でも一度は夢見ること……つまり「死後評価されること」について考えてみたい。 不遇の天才だとか不世出の逸材とか、世に色々な「報われない才能」というのはあるけれど、中でも一番かっこいいのは「死後評価される」ことだ。…

どうして漢文を学ぶのか

唐詩選〈中〉 (岩波文庫) 作者:前野 直彬 岩波書店 Amazon 数年前に学校で漢文についてのレポートを書く機会があって、自分自身何を書いたのかほとんど忘れていたのだけれど、ふと思い立って改めて読み直してみたら割と真面目なことを書いていた。当時の自分…

オッドタクシーとHIPHOP

「オッドタクシー」は2021年春絶賛放送中のアニメだ。脚本・映像感覚・テンポなど様々な点で優れている作品であり、特に個人的にはミステリ的な興趣に心を惹かれるのだが、そうしたドラマ面での面白さについてはいつかどこか別の場所で話すとして、今回はHIP…

『文学少女対数学少女』を読んでなぜ鳥肌が立ったのか〈感想〉

文学少女対数学少女 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:陸 秋槎 発売日: 2020/12/03 メディア: Kindle版 「気持ちを証明するにはどうしたらいい?」 「さあね。それには昔からみんな悩んできたんだ」 ──桐野夏生「独りにしないで」 陸秋槎の推理小説『文学少女…

プリズン・ブレイクに学ぶ おすすめ脱獄法10選

ここ数ヶ月はずっと『プリズン・ブレイク』にハマってて、二六時中そのことを考えていた。(残りの十二時間は『天牌』のことを考えていた)。ずっと家に引きこもって生活しているのだから脱獄に思いを馳せるのもむべなるかな。おそらく皆さんの中にも、脱獄…

だましだまし、華文ミステリを読もう!

どうやら世間では中国の現代小説というのがひそかなブームになってるらしい。華文ミステリというジャンルもここ数年やたらもてはやされるようになったし、『三体』もようやく和訳されて中国現代小説の面白さというのがいよいよ浸透しつつあるのかな、と思う…

小説/テキサス・タイプライター

バチバチバチバチバチバチ カシャッ。 バチバチバチバチバチバチ カシャッ。 その頃の名残は、一葉のセピアの写真と、そして無数の赤茶けた紙片から見て取れる。 Type A, Please テキサスタイプライターと正式に呼ばれる道具は存在しないのだが、テリー・ハ…

ミッドサマー メモ / MIDSOMMAR MEMO

映画『ミッドサマー』を観ました。 鬼気迫る演技に見せ場のある作品なので、人間ドラマについては見れば分かる。云うことなし。でも結局、映画の中では「ホルガ」という空間のシステム自体は外側から解体されなかったわけで、しかしネットにあふれる考察を見…

二次元美少女は日本語ラップの希望となるか;言霊少女とかヒプノシスマイクとか

この記事は「おいオタク! 今、言霊少女が熱いぞ!」ということを伝えるために書いた。言霊少女っていうのは美少女キャラがラップするプロジェクトだ。ヒプノシスマイクからむこう、この手の二次元ラップミュージックが隆盛していることを聞き及んでいるオタ…

『ドールズフロントライン』×『VA-11 Hall-A』コラボイベントの思い出

「私は今、〝まやかし〟のものに泣かされてるんだって。物語も登場人物も全部つくりもの。 「でも、つくりものだろうが何だろうが、どうでもよかった。じゃあ〝現実〟も同じように考えたらいいんじゃない?ってその時思ったの。 「私が誰かの想像の産物に過…

小説/ひらいば、ひきこもごも

外に出て、人々の往来を見てみれば分かるように、ひとにはそれぞれの速度がある。せかせかと歩くひと、ゆうゆうと歩くひと、一歩ずつ自分の足元を確かめるように歩くひともいるし、浮足立って突っ走っていくひとだってときにはいるだろう。 ひとそれぞれに速…

『クロック城』に囚われている

あまりにもこのページを放置しすぎたため、今回の更新は208日ぶりの更新となる。(型通りのオタクならここで「2億年ぶり」だとかなんとか適当な誇張をするところであるが、筆者はそのようなことはしない。筆者はオタクではないので)。 さすがにこのまま腐ら…

小説/ヴァーチャルプロクター

起立、気を付け。 おはよう、諸君。私が君たちに講義を行うのはこれが初めてとなる。 まず私の仕事について説明せねばなるまい。 必要なのは何をおいてもまず、ヴァーチャルユーチューバーだ。 ヴァーチャルユーチューバーが世に広まったのは2010年代後半と…

[少女庭国]とはなんだったのか

〔少女庭国〕 作者: 矢部嵩 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2014/05/22 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 〔少女庭国〕 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 矢部嵩 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2019/06/20 メディア: 新書 この商品を含…